HORIBA JOBIN YVON

The subject of this page applies in:
Japan
Alternative website:
HORIBA Japan
ホーム >> 製品情報 >> 製品名から探す >> 蛍光分光測定装置 >> 蛍光量子収率 >> 固体薄膜サンプルの量子収率の測定
製品情報 製品名から探す蛍光分光測定装置
蛍光量子収率
製品カテゴリ一覧
蛍光分光測定装置TOP
  固体薄膜サンプルの量子収率の
  測定
カタログ
論文
アプリケーションノート
参考文献
特集:いまDNAからDNBへ
フォトンカウンティング蛍光分光光度計を用いた固体薄膜サンプルの発光の量子収率の測定
要約
本報では、市販の蛍光分光光度計と積分球を併用することで、薄膜の固体状態での光発光の絶対量子収率の効率的な測定が可能であることを報告する。
ここで紹介する方法を用いれば、励起源や検出器に特殊な装備が不要となり、試験方法が大幅に簡略化できる。本方法を用いて2種の発光性ポリマーの量子効率の測定したところ、その結果は他の手法を用いてすでに得られている結果とよく一致した。
有機ELのような薄膜サンプルの発光の絶対量子収率(PLQY)を測定することは、溶液サンプルの発光の絶対量子収率(PLQY)を測定するのに比べると相当に複雑な系となる。これは薄膜サンプルが高反射媒体であるため、発光の導波が無視できないからである。薄膜サンプルからの発光の角度依存性を解消するために一般に積分球を用いて放射光を集光する。
レーザーを励起源とし、ファイバーカップルドCCDカメラや校正ホトダイオードを発光検出器として用いる場合には、積分球使用が不可欠となる[1,2]。いずれにしろこれら方法に必要な光学装備は高価であり、どの研究室でも簡単に利用できるようなものではない。また、励起源としてレーザーを使用するにしても、UV及び可視領域のスペクトルにおいて励起波長を任意に選択できないという制限がある。

本報では、市販のフォトンカウンティング蛍光分光光度計と積分球とを用いることで、固体薄膜サンプルの絶対量子収率(PLQY)を簡便に測定できることを報告するものである。
この方法では、励起源として巨大で高価なレーザーを使用する必要がなく、これに代わるものとしてどの研究室にでもある標準的な蛍光分光光度計を利用できる点に特長がある。したがって励起波長を300−600nm領域内で任意に選択できる。また、蛍光分光光度計の分光器や検出器を発光の測定に用いることができるので、わざわざ独立した絶対量子効率測定システムを構築する必要がない。光子計数法(フォトンカウンティング)タイプの蛍光分光光度計を使用すれば、高感度な測定が可能であるため、極めて低い絶対量子収率(PLQY)をも正確に測定することができる。
手法
この簡便な絶対量子収率(PLQY)測定を実施するため、内部がPTFEでコートされた積分球(Glen Spectra製)を、FluoroMax-3(堀場グループ ジョバンイボン製)に搭載した。入力ポートと出力ポートは、蛍光分光光度計の平面上で90度の角度に配置されている。すなわち、蛍光分光光度計の設計配置そのままが、積分球上で使えることになる。
サンプルとなる材料を直径10mmの石英製の基板上にスピンコートし薄膜を形成した。このようにして用意した基板を励起光線に面した入力ポート内のホルダーから積分球内 約20mmの位置にはめ込む。測定スペクトルは、ブランクとしての基板だけを用いて得たスペクトルを差し引きバックグランド補正した後、さらに蛍光分光光度計の波長感度及び積分球のスペクトル感度により補正する。積分球のスペクトル感度の決定には、校正済タングステンランプ(オーシャンオプティックス製)と、検出器の代わりに蛍光分光光度計を用いる。蛍光分光光度計のスペクトル補正係数は、校正済タングステンランプを用いて得ることができる。これら二つの検量線を、サンプルの発光スペクトル測定値の補正に使用する。サンプルの絶対量子収率(PLQY)測定における発光スペクトルすべてにこの補正を施す。

PLQY値は、デミロによる方法[1]により求める。デメロ法では、PLQY(ΦPL)値を次式で求める。
ΦPL = 
 E1(λ)-(1-A)・E0(λ) 
L0(λ)・A
ここで、
A = 
 L0(λ)-L1(λ) 
L0(λ)
なお、式中のE1(λ)及びE0(λ)は、それぞれフィルムの直接励起及び二次励起の結果として起こる積分発光量をいう。二次励起発光は積分球の壁面で反射された励起光がサンプルを照射する結果起こるものであり、サンプルが励起光の光路内にあって起こるものではない[1]。Aは薄膜の吸光度で、総励起プロファイル即ち、励起波長(±5nm)領域での発光信号を、次の2条件で測定して求められる。L1(λ)は薄膜が直接励起された場合の総励起量であり、L0(λ)は前述のように励起光が最初に積分球の壁面に当った場合の総励起量である。 L0(λ)は、サンプルを含まない積分球のみでの総励起量である。

本法の有効性を確認するため、発光性ポリマーであるポリ(2,5-ピリジンジイル)(PPY)のPLQY測定を行った。PPYは、文献記載の方法によって合成し特性評価を行った[3]。薄膜サンプルを基板上にスピンコートした、その膜厚は約200nmであった。
図1に、370nmで励起した場合にPPYの発光スペクトルを示した。
この特定の例を示したのは、PPYが一般的に実現するのが難しいUV励起を必要とするポリマーであることと、また 例えばレーザー励起とともに使用されるブロッキングフィルタからの二次発光に伴う問題点を多く含んでいるからである。左側の二本のシャープな線は前述のL1(λ)とL0(λ)の励起プロファイルで、フィルム吸光度をこれら二本の線から上記Aの関係式により計算することができる。一般に、薄膜サンプルの発光と励起光との間には、強度に大きな違いがある。このため、検出された信号強度が蛍光分光光度計の光電増倍管(PMT)のレンジの範囲内にあることを確認することが重要である。このために、ニュートラルな減光フィルタを用い、ランププロファイルの強度を抑える必要がある。

この試験結果より、PPY薄膜の絶対量子収率(PLQY)は ΦPL=18±2%が求められた。グリーナムらの方法[2]により、CW Ar-イオン・レーザを用いて360nmで励起させて測定した場合には、PLQYは20%となっている[4]。
ポリフルオレン・ポリマーの一種、ポリ(9,9-ジ(エチルヘキシル)フルオレン)を同様の方法で測定した結果、PLQYは、ΦPL=24±1%[5]となり、ビルギリら[6]により報告されている絶対量子収率(PLQY)値とよく一致した。

これらの結果より、一般に絶対量子収率(PLQY)の測定に使われてきた試験装置に比べ融通性に富み、どこの研究室でも利用できる蛍光分光光度計を用いて、固体薄膜サンプルの絶対量子収率(PLQY)を簡単に求めることが可能であることが確認された。
今後、多くの研究グループで、最低限の費用で、薄膜サンプルの絶対量子収率(PLQY)測定が可能となるものと考えられる。なお、本方法にはまだまだ改良の余地がある。光電子増倍管(PMT)のダークカウントを簡単な冷却ユニットの追加で抑えることが可能であることから、特に検出器には改良の余地があることを付記する。この改良により試験感度をより向上できると考えられる。

図1. 370nmで励起した場合のPPYの発光
(図1)
370nmで励起した場合のPPYの発光。挿入図は、励起光部分を拡大したものである。
実線はL0値を、破線はL1値を与える。
References.
  1. J.C.de Mello, H F.Wittmann, R H.Friend, Adv Mater. 1997, 9, 230
  2. N. C Greenham, I. D. W.Samuel, G. R.Hayes; R. T.Phillips, Y. A. R. Kessener, S
    C.Moraiti. A. B.Holmes, R. H.Friend, Chem Phys. Lett., 1995, 241, 89.
  3. T.Yamamoto, T.Murauyama, Z.-H.Zhou. T.Ito, T.Fukuda, Y.Yoneda, F Begum, T.Ikeda,
    S.Sasaki, H.Tatezoe, A.Fukuda, K.Kubota,J Am. Chem. Soc. 1994,116, 4832.
  4. A.P.Monkman, L.-O.Palsson, R.W.T Higgjns. C.Wang, M R.Bryce. A.S Boisanov,
    J A.K.Howard, (2001) in press
  5. C Rothe, L.-O Palsson, and A. P Monkman, in press
  6. T. Virgili, D.G Lidzey and D.D.C Bradley, Adv Mater. 2000, 12(1), 58

On this website

Search