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近赤外蛍光分光測定装置 SPEX Fluorolog-NIR
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特集:いまDNAからDNBへ
近赤外蛍光分光測定装置
SPEX Fluorolog-NIR
アプリケーション
蛍光分光測定によるカーボンナノチューブ構造の分析
要約
ナノ構造を持つ物質が発見されて以来、これらの物質特性の調査が相次いで行われている。特にカーボンナノチューブ(最大幅1.4 nm、最長100μm)は、分子ワイヤ、論理ゲート、ディスプレイ、ナノサイズの機械パーツなどの様々な用途への使用が期待されている。SPEX Fluorolog-3 は、カーボンナノチューブの構造に関する重要なデータを測定できる高信頼性の蛍光分光測定装置である。
実験
シングルウォールのナノチューブは、高圧CO (g)で生成され、D2O 中のドデシル硫酸ナトリウムミセル(20〜25g/mL)に懸濁した。励起側にダブルモノクロメーター、発光側にシングルモノクロメーター、液体窒素冷却の近赤外InGaAs 検出器からなるSPEX Fluorolog3-211を用いて測定を行った。マトリックススキャンを、励起波長範囲= 300〜930nm、発光波長範囲= 810〜1550nm(近赤外領域)、波長間隔= 3nm、スリット幅バンドパスでEx/Em 7nm/7nm の条件で行った。励起強度と装置レスポンスでデータの補正を行なった。
結果
蛍光マトリックスデータを図1に示す。

図1 励起・発光波長に対する蛍光発光強度(縦軸)のマトリックス
【図1】
励起・発光波長に対する蛍光発光強度(縦軸)のマトリックス


吸収値および発光値はナノチューブの構造によって異なる。六角網目状のグラフェン・シートの幾何学構造によればカーボンナノチューブは、チューブの長さとシートをロールアップするカイラル角αに基づく「ラッピング」ベクトルc = na1 + ma2 で表される整数(n, m)で分類される。

3でちょうど割り切れる(n-m)となる構造、すなわち(n-m)/3 mod 3 = 0 をみたす構造では、絶縁性がなく、非蛍光体となる。

図1 のデータを分析した結果、(n, m)値が(5, 4)から(15, 1)の範囲で分類される33 個の異なるナノチューブ種に対応する33 ケの個別のピークが認められた。ピーク値は、拡張型タイトバインディング・モデルの計算値と、ナノチューブのラマン散乱のラジアルブリージングモードの測定値との比較に基づいている。励起および発光の波長の変移は、ナノチューブの直径とリニアな相関関係を有する。(n-m)3/ mod 3 = 1 をみたすタイプではわずかに長めの波長を発し、(n-m)/3 mod 3 = 2 タイプではわずかに短めの波長を有する。

チューブのたわみ(さらにエクシトン効果)の影響が、予測される蛍光波長からのずれとなって観測された。蛍光強度が数ある特定のナノチューブ構造に一致すると仮定すると、発光強度は、ナノチューブの直径が0.93nm (0.6 〜 1.3nm の範囲)で、カイラル角が約30 度のときに最大となることがわかった。
結論
蛍光分光測定装置SPEX Fluorolog-3 による定常蛍光スペクトル測定は、様々な種のカーボンナノチューブのアイデンティティ(独自性)を決定づけるのに有効な方法である。蛍光分光測定装置Fluorolog-3 は、基礎量子化学やマテリアル科学の研究において近赤外領域での蛍光測定に対応できる高感度と多機能性を備えている。
上記内容を更に詳しく解説したアプリケーションノート
Alcohl CCVD法により合成されたSWCNTの測定結果
(a)近赤外蛍光分光 (b)カイラリティ分布
(a) 近赤外蛍光分光
(b) カイラリティ分布

(資料ご提供:東京大学 丸山茂夫先生)

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