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アテローム性動脈硬化過程に関する新情報
ラマン分光とFTIRによる検査
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Apo Eおよび野生種のマウスを使ったアテローム性動脈硬化過程の研究において、ラマン分光とFTIRによるマイクロプローブ分光法を使用しました。アテローム性動脈硬化症は血管の内壁が硬化する病気で、脂質、コレステロール、カルシウムなどの成分が血管の内壁に沈積します。沈積の分子組成がわかれば、症状の予測や治療法の選択に役立てることも可能です。
コレステロールやトリグリセリドの運搬に関わるアポリポプロテインE(Apo-E)をもたないノックアウトマウスをつくりました。このマウスに発生する障害は特性がよくわかっており、しかもそれはヒトの場合によく似ています。欠落した分子の情報を得るため、ラマンとFTIRのスペクトルを現在、分析しているところです。また組織に取り込まれた脂質の不飽和度を定量化する作業にラマン・スペクトルが利用できることも発見しました。
組成マッピング:ラマン分光とFTIRのスペクトルを使えば、タンパク質と脂質が顕微鏡並みの分解能で区別できます。図1に示したのは、タンパク質の多い領域(一番上)と脂質領域のスペクトルです。これらのスペクトルは、全反射吸収法(ATR法)を使って接触モードで記録しました。図2は、大動脈の内腔部(内側)を輪切りにした白黒画像と、LabRAMというソフトウェアのモデリング機能を使って作成したラマンマップです。
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図1:高脂肪の餌を与えた野生種マウスから得られたATR FTIRスペクトル。
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図2:
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大動脈の内腔側の顕微鏡写真。脂質の多い部分とタンパク質の多い部分が写っている。対応するラマンマップはタンパク質を緑で、脂質を赤で色分けしてある。
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新たに発見された化学種:私たちの研究では2つの新発見がありました。あるケースにおいて「高齢の」正常マウス(15カ月)の大動脈を検査したところ、方解石を含んだ石灰化領域が発見されました。方解石は、炭酸カルシウム(CaCO3)が鉱物の形態をとったときによくみられるものです。石灰化が方解石の形で存在することは、老化した動物では炭酸脱水酵素(通常は多量に存在する)が通常よりも少ないか活性が落ちていることを示しています。
もう1つのケースでは、ノックアウトマウスの高脂肪領域にある孤立した小部位から得られたラマン・スペクトルが、遊離脂肪酸の成分を示していました。遊離脂肪酸は >C=O基がないのでトリグリセリドと区別できます。この結果から、この部分に沈積した脂肪はエステル化していないことがわかります。このことは、食餌による脂肪が代謝によって変化したことを意味します。またこの小部位のスペクトルを精査したところ、コレステロールを示唆する帯が数多く存在することがわかりました。
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